拾った石を、名前を決める前に観察する
石を拾ったとき、真っ先に「これは何という石だろう」と知りたくなります。けれど、名前を当てることを急ぐより、先に観察して特徴を記録しておくほうが、あとで調べるときの助けになります。ここでは、道具がなくてもできる観察の手順を書きます。
一、見た目を言葉にする
まず、色、模様、つや、透け具合を観察します。同じ色の石でも、表面がざらざらしているか、つるつるしているか、光を通すかどうかで、性質の見当が変わってきます。観察の結果を、短い言葉でメモに残します。
二、割れ口や粒を見る
石の割れた面があれば、そこを観察します。細かい粒が集まっているのか、結晶が見えるのか、層が重なっているのか。ルーペがあれば、拡大して見ると、粒の大きさや形がよくわかります。
三、重さを感じる
手に持って、見た目より重いか軽いかを感じてみます。同じ大きさでも、含まれている鉱物によって、重さが違います。比較するために、手元の他の石と持ち比べるとわかりやすいです。
四、硬さを調べる
石の硬さは、他のものでひっかいて、傷がつくかどうかで、おおよそ見当がつきます。身近なもので試すなら、爪、銅の硬貨、ナイフの刃、ガラスなどがあります。ただし、傷をつけると標本が傷むため、目立たない場所で、軽く試す程度にとどめます。ナイフを使うときは、けがに注意します。
五、水をかけて様子を見る
水を少しかけると、色が濃くなったり、模様がはっきりしたりします。乾いているときと濡れているときの、両方の様子を記録しておきます。
六、拾った場所と日付を記録する
どこで拾ったかは、石を調べるうえで非常に重要な情報です。場所の名前、川や海岸の位置、日付を、石とあわせて記録します。あとで見返したときに、同じ場所で拾った石を比べられます。
七、写真を撮っておく
観察した状態を、写真に残します。複数の角度から撮り、大きさがわかるように、定規や硬貨を一緒に写すと便利です。
名前は、あとから調べればよい
観察のメモがそろったら、図鑑や資料と照らし合わせて、候補を絞っていきます。見た目だけで断定できない石も多いので、「たぶんこれ」という程度にとどめ、確定しないままにしておく態度も大切です。
次の記事では、採集に出かけるときの心構えを書きます。
観察に使える道具の例
特別な道具がなくても始められますが、あると便利なものもあります。十倍ほどのルーペは、粒や結晶の様子がよく見えます。小さな磁石は、石が磁石に反応するかを確かめる手がかりになります。白い陶器の欠けた面にこすりつけると、石の粉の色(条痕)が見えることもあります。ただし、傷がつくため、大切な標本には使いません。
見た目だけで判断しない
似た見た目の石でも、成り立ちがまったく違うことがあります。反対に、見た目が違っても、同じ種類の石ということもあります。観察で得た特徴は、あくまで手がかりとして扱い、結論を急がないことが、石と付き合ううえでの基本です。